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日本農業新聞
平成15年11月19日 戻る
 種子島農業公社 2千ヘクタール一手に管理 地域支え担い手も育成 
 鹿児島県の種子島農業公社は、中種子町と南種子町の農作業受委託一手に管理する財団法人だ。大型機械による各種作業を同公社が請け負い、一部を生産組合などに再委託する。延べ受託面積は約2千ヘクタール。重労働だったサトウキビの州買うから解放された農家は多く、新規作目の導入も進んだ。受託した作業を別の集団に分配する「作業再委託」は、担い手農家の育成にもつながった。同公社は、地域農業の存続には欠かせない存在となっている。

 同公社は1995年、JA鹿児島くまげ、中種子町、南種子町によって設立された。職員数は14人(準職員含む)。トラクター10台のほか、各種水田作業機、サトウキビハーベスター10台、サツマイモ掘り取り機2台など、多くの大型機械を所有する。

 地域の基幹作目はサトウキビ。高齢化などで収穫作業が出来ない農家が増え、公社が発足するまでは収穫面積が年々減少していた。一部の生産組合は、以前から大型機械で作業を請け負っていたが、面積や労力の調整が難しく、対応には限界もあった。公社の大きな役目は、JAや町、精糖工場と一体となった受託面積の調整だった。

 サトウキビの収穫作業は、精糖工場の受け入れ能力と大きく関係する。同公社の浮田浩一事務局長は「”地域農業を守る”という共通認識があったから、受委託システムを軌道に乗せることができた」と強調する。

 公社は、防災無線などを活用した広報の後、地域の集落推進委員を通して農家からの委託申し込みを受け付ける。公社直営と再委託の面積を「受託面積調整会」で決定。両町のサトウキビ生産組合や水稲受託部会、大型機械銀行は、公社からの受託分をさらに細かく調整する。

 サトウキビの収穫は、12月中旬から翌年4月中旬まで。農家は公社に作業委託することで、水稲やサツマイモなど基幹作目の作業競合を避けることもできる。両町あわせたサトウキビ収穫面積は95年の1千448ヘクタールから2002年には1千878ヘクタールに伸びた。

作業や面積の念入りな調整で、公社や各生産組織の大型機械の稼働率は格段に向上した。再委託を受ける担い手農家は規模拡大が可能になり、後継者がいるところも多い。余剰労力を生かして新規導入されたジャガイモの作付け戸数は昨年、5年前の8倍以上の404戸になった。

 公社も01年度に黒字経営を実現。浮田事務局長は「職員、作業員による経費削減努力も大きい」と振り返る。納期メーカーで研修を受けた職員らが機械整備や修理を行うことで無駄な出費をなくしている。サトウキビ収穫調製の人件費削減のために新型しせつも導入した。

 同公社のサトウキビ収穫の受託面積は年々増加し、昨年度は直営302ヘクタールを含め、819ヘクタールだった。両町のサトウキビ収穫面積の41%を占める。早期水稲の田植え・収穫や原料用サツマイモの畝立て・収穫なども受託。サトウキビの収量を確保するための管理作業の受託にも力を入れる。

 今では、両町の農家の75%が同公社の受委託事業に関係するほどになった。農地の利用調整や流動化でも大きな役割を果たす。中高生から募集して付けられた同公社の愛称は「T・A・F(タフ)」。「種子島農業の未来を切り開く」「自由化に負けないタフな農業」などの意味が込められている。

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