第43回衆議院議員選挙は11月9日に投票が行われ、県民の審判が下った。県内では5選挙区(定数各一)に15人が立候補し、激しい選挙戦を展開。その結果、小選挙区で県農政連推薦候補(いずれも自民党公認)は4氏が当選したものの1氏が涙を飲んだ。また、比例区で推薦(自民党公認)の1氏は順当に当選した。農政連では推薦候補とは政策協定を結んでおり、当選議員にはその実現に大きな期待を寄せている。
選挙戦で有利な戦いを進めていた3区の宮路和明氏(62)は5期目、4区の小里貞利氏(73)は9期目、5区の山中貞則(82)氏は17期目を決め、いずれも圧勝した。
厳しい戦いが予想されていた1区の保岡興治氏(64)は、農政連など組織が燃え、前回に約9千票差だった民主党の川内博史氏(42)にその差を広げて抑え、10期目を果たした。
しかし、2区の園田修光氏(46)は返り咲きを狙い善戦したものの、自由連合の徳田虎雄氏(65)に約6千500票差で一歩及ばす、前回の雪辱はならなかった。
一方、比例区で2位にランクされた松下忠洋氏(64)は、順当に4期目を手にした。
この中で、農政の重鎮である山中氏は9日夜に早々と当選確実。鹿屋市の選挙事務所前で、歓喜の大勢の支持者を前に「”出てくれ”と言われた時、”今度出たら死ぬよ”と言ったら、”命をわれわれに下さい、大隅半島に下さい”と要請され出馬した。この命は、皆さんの命。精いっぱいの働きをして、お互いが納得した人生にしたい」と当選の抱負を述べた。
同氏は今回、勇退を決意していたが、全国各地から「山中先生を国会から失ったら、特に日本の畜産は壊滅する」との強い出馬要請があっての選挙戦で、同氏も”不惜身命”の決意で当選を期しただけに、農家の喜びもひとしお大きい。
今回の選挙結果について川井田幸一農政連委員長(JA県中央会会長)は、園田氏の敗戦には「あと一歩力及ばす、まことに残念な結果」とし、当選議員に対しては「WTO(世界貿易機関)農業交渉やFTA(自由貿易協定)交渉など課題山積の中、政策協定の実現に向け、農業者、地方の代表として国政で大いに代弁してほしい」と期待している。
各議員とは、@WTO農業交渉では、”日本提案”の実現、関税の削減や上限設定、ミニマムアクセスの大幅拡大を受け入れないよう、また、特別セーフガード(輸入制限措置)の継続AFTAでは、シンガポール方式を基本に、畜産やカンショ・でんぷん、サトウキビ、米などの基幹作目については関税撤廃の例外品目とするB食料自給率目標45%を堅持し、その実現を図る施策の充実・強化C地域の実態を踏まえた多様な担い手の確保・育成対策など8項目からなる政策協定を締結している。
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