「学校給食の野菜は任せて」。
鹿児島県伊仙町にある県立徳之島農業高校の生徒が先月から、町内の全小・中学校への食材提供を始めた。合わせて11校、約960人分。全国でも珍しい、高校生から小中学生への職のリレー≠ェ食育に弾みをつける取り組みとして話題になっている。
「きょうの献立は、今が旬のナスを使ったマーボーナスです。ナスを作ってくれた農業高校のみなさんに感謝しながら食べましょう」
同校の生徒が栽培したナスが15日、給食に登場した。11日のピーマンに続く、農高野菜の第2弾だ。生徒が収穫した野菜は町立の学校給食センターが買い入れ、調理される。
「写真の生徒が顔見知りのお兄ちゃんだったこともあり、子どもたちは大喜びで楽しい給食だった。とてもありがたい」と糸木名小学校の徳裕子校長(52)。
給食センターが各校に配るちらしには、笑顔でピーマンやナスのかごを抱えた農高生のカラー写真を掲載。「私たちが作った野菜です。おいしいですよ」の言葉も添えている。
この取り組みは給食センターが働きかけたもので、平嘉一郎所長は「農高の野菜を使うことで、地域や農高の活性化に少しでも役に立ちたい」と話す。農高に行って農業をしたくなるような子どもを育てるのが、平所長の夢だ。野菜を提供する園芸工学科3年の源美勇司君は「僕たちが作った野菜をたくさん食べて、大きくなってほしい」と、メッセージを送る。
現在はまだ、給食センターで使う野菜の全量を賄い切れていない。このため農高は来年から、計画的に野菜を生産する予定だ。 |
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