大腸がんは、昭和30年代から年々増えてきています。大腸がんが増えてきている理由としては、食生活の変化が大きな理由としてあげられています。
最近は、動物性脂肪や動物性たんぱく質の摂取量が増え、炭水化物や食物繊維の摂取量が減っています。そのため、便が大腸にとどまる時間が長くなり、便に含まれる発がん物質が、大腸の粘膜に接している時間も長くなります。そのことが大腸がんの増えている大きな原因になっていると考えられています。
また食生活の欧米化で、腸内の細菌の状態が変化してきていることも原因のひとつと考えられています。
大腸がんの代表的な検査には、便潜血反応検査があります。専用の容器に便を入れて提出し、便の中に血液の有無を調べる検査です。簡単にできて食事の制限などがありませんので、検診で広く行われています。
ただし、早期がんが見逃されやすく、がん以外の出血にも反応してしまうという欠点があります。いずれにしても、胃エックス線検査などとは異なり、がんそのものを見つける検査ではありません。陽性といわれたら、確実に精密検査を受けることが重要になります。また、陰性であっても油断せず、毎年検診を受けることが重要です。
ほかに大腸の検査として、注腸造影検査と大腸内視鏡検査があります。注腸造影検査は、肛門からバリウムと空気を注入して大腸を膨らませ、エックス線撮影をする検査です。大腸内視鏡検査は、肛門から内視鏡を挿入して大腸内を直接調べることができる非常に精度の高い検査です。
ただし、事前に便を完全に排出する必要があるため、2リットルもの下剤を飲まなければなりません。簡単にはできませんので、便潜血反応で陽性がでた場合の精密検査として実施されることが多くなっています。