厚生労働省の調査では体の不調でいちばん多いのが腰痛で、日本人の10人に1人が悩んでいるという結果がでています。
私たちの先祖が4本足で歩いていたときは、前足で上半身の体重を支え、後ろ足で下半身の体重を支えていました。しかし、2本足で立つようになると、背骨で上半身の体重を支え、姿勢を保たなければなりません。そのため、上半身と下半身のつなぎ目である腰に、特に負担がかかるようになりました。また、上半身を支えているのは、背骨だけでなく背骨の周りにある腹筋や背筋も上半身を支えています。
背骨、特に腰の部分は、ひねったり、物をもったり、おじぎをしたりといった、上半身の動きの要になります。そのため、特に腰に負担がかかり腰痛を起こしやすいのです。また、背骨は自然なS字状カーブを描いていますが、カーブをうまく維持できない姿勢を続けていると、背骨だけでは上半身を支えきれず筋肉、特に背筋に負担がかかります。それで腰痛が引き起こされることもあります。
腰痛の予防のためには、腰の負担を減らすことが大切です。ポイントの1つは、背骨の自然なS字カーブを維持することで、そのためには日常生活の中で姿勢に注意することです。たとえば、立つ場合はあごを軽く引き、背すじを伸ばし、おなかを引っ込めて膝を伸ばします。物を持ち上げるときは、膝を曲げて腰を落としてから荷物を持ちます。
しかし、自然なカーブを維持しても長時間同じ姿勢でいると、腰の筋肉の伸び縮みが悪くなります。同じ姿勢を続けないことが大切です。また、筋力が衰えると腰の負担が大きくなったり、筋肉が硬いと、体が受ける振動や衝撃を、うまく受け流したり吸収したりすることができなくなり、上半身の自由な動きが妨げられ腰に負担がかかってしまします。
腰痛を防ぐためには、腰を支える筋肉を鍛えて筋力アップをはかり、ストレッチングで筋肉の柔軟性を高めることも大切です。また、腰痛は内臓の病気から起こることもありますので、ひどい場合や長く続く場合は、自己判断せずきちんと医師に相談しましょう。