果物が嫌いという人は少ないと思いますが、近年日本では、果物の消費量は減少傾向にあります。その背景には、野菜などに比べて果物の値段が高めであること、特に男性の消費量が少なくなったことなどがあげられます。最近では、男女ともに2十代の若い層で消費量が少ないのが目立ちます。理由としては、「皮をむくのが面倒」というものが多いようです。
果物には健康のために優れた働きをもつさまざまな成分が含まれています。その成分を「甘味」「酸味」「渋味」3つの風味に分けて説明します。
- 甘味
甘味成分は糖質の仲間で砂糖に含まれるしょ糖、ごはんやいも類に含まれるでんぷんなどがあります。このなかで最も甘いのが、果物の代表的な果糖です。疲れたときに体がエネルギーを要求しますが、こうしたときに果物を取ると、すぐに吸収されるので疲労回復に適しています。また、糖分を唯一のエネルギー源とする脳や神経組織などにも効果的です。果糖はほぼすべての果物に含まれますが、特に多く含まれるのは柿、ぶどう、りんご、梨、いちごなどです。
- 酸味
果物の酸味の成分には、主に「クエン酸」や「りんご酸」がありますが、特にクエン酸は重要成分で、果物以外の食べ物にはほとんど含まれていません。よく「食後にフルーツを食べるとよい」といいますが、その理由の1つはクエン酸を補給することで、食事で取った糖質・脂質・たんぱく質を効率よくエネルギーに変えられるからです。クエン酸の多い果物には、レモンなどのかんきつ類や梅、パイナップルなどがあります。
- 渋み
渋み成分は微量でありますが、ほとんどの果物に含まれています。渋みの主な成分は「ポリフェノール」で、赤ワインに多く含まれる成分としてよく知られています。果物に多く含まれるポリフェノールには、ぶどうやりんごの皮に含まれる「アントシアニン」、バナナや柿に含まれる「タンニン」、桃や梨に含まれる「カテキン」などがあります。ポリフェノールには体の中で悪影響を及ぼす活性酸素を取り除く働きがあります。
果物には他にも、カリウムなどのミネラルや、ビタミン類が豊富に含まれます。1日200g(みかん2個、またはりんご2分の1個)を目安に楽しくおいしく食べましょう。