日本では、酒の消費量は徐々に増加しています。女性や若年層の飲酒が増加したり、高齢になっても飲酒の習慣を続ける人が多いことなどが、酒の消費量を増やしたと考えられます。酒の消費量の増加に伴って、日本人がだんだん酒に強くなってきているといえばそうではありません。酒が強いかどうかを決定するのは、遺伝的な要素が強く、日本人は世界の他の民族に比べると、酒の飲めない人が多い民族といえます。
体内に入ったアルコールは、肝臓で酵素の働きにより「アセトアルデヒド」から「酢酸」に分解されて、体内でエネルギーを発生して、最後は「水と2酸化炭素」に分解されて体外へ排出されます。分解の途中で生じるアセトアルデヒドが血液中にたまると、顔が赤くなったり、頭痛や吐き気が起こるなど悪酔いの症状が表れます。「酒が飲める(酒が強い)かどうか」は、アセトアルデヒドを分解する酵素の活性の高低によって決まります。日本人の場合、「この酵素の活性が高く、酒が飲める人が45%」「活性が低く、飲めない人が10%」「中間で少しは飲める人が45%」の割合です。
酒の飲みすぎによって、最も負担がかかるのが肝臓です。大量の酒を長期間にわたって飲み続けると「アルコール性肝障害」が起こります。肝臓だけでなく、全身の臓器にも悪影響を与えることが分かっています。酒の飲み過ぎによる代表的な障害として、胃炎や慢性膵炎、高血圧や脳卒中、痛風などが挙げられます。
上手な酒の飲み方は、「適量の酒が食欲を増進し、睡眠を促し、ストレスを解消してくれる」「動脈硬化を予防する」等、酒のメリットを生かす飲み方をすることです。酒のメリットを生かすためには、
- 適量を守る。
- 良質のたんぱく質など、おつまみを食べながら飲む。
- ゆっくり飲む。
- 休肝日を設ける。