「お米のかんそうがすんだので取りにきて下さい。」
お昼にＪＡのかんそう場から電話がきた。収穫した新米をかんそう場にたのんでいたからだ。
「こめ太郎に行くぞ。車に乗って。」
お父さんが言った。かんそう場から持って帰ってきたお米を「こめ太郎」に持って行くので、ぼくも一緒に行った。「こめ太郎」とはもみのお米を白いお米にする機械のこと。ひさしぶりに行ってみた。
「いらっしゃいませ。」
こめ太郎は機械だけどおしゃべりする。
「ザー。」
お父さんがお米投入口にふくろから新米を入れた。もみの山が投入口にできた。五百円を機械に入れてこめ太郎が話す通りにお父さんがボタンを押した。
「ウィーン。ゴー。」
最後のボタンを押したとたん、ものすごい音がしてこめ太郎が動き始めた。投入口のもみがどんどん機械に入っていき、もみの山が小さくなっていった。上を見ると、かくにんまどがあり、そこに白くなったお米をかくにんできた。五分ほどたった。
「ザー。」
真っ白にへんしんした米たちが出てきた。ぼくはうれしくなってきた。出口の受け皿に、どんどん白い米の山がでてきて大きくなっていく。さわったらとってもあったかい。
「終りょうしました。ありがとうございました。」
こめ太郎が終わりを教えてくれた。こめ袋をお父さんが広げてくれた。ぼくはペダルをふんだ。すると、受け皿の下が開いて米が袋にザーと入っていった。
「やっと新米が食べられるぞ。」
そう思うとぼくは、胸がワクワクしてきた。
四月にお父さんとお母さんが田植えをした。お母さんは時々田んぼにぼくたち兄弟をつれて水の様子を見に行った。
最初はとっても小さな苗だった。葉っぱも黄緑色だった。行く度に苗は大きくなっていく。七月には穂が出て花もさいた。
「実るほど頭が下がるいな穂かな。」
まっすぐだった穂が、米ができるにつれて、たれ下がっていった。
そんな時、お母さんがことわざも教えてくれた。
「お米がいっぱい実ったら穂がたれ下がる。人間もいっしょ。立派な人ほどおじぎする。中身ができている人ほど頭が下がる。そんな人になりなさい。」
ぼくは、そんな大人になりたいなぁと思った。こめ太郎に行った次の日、お母さんがたいてくれた新米は、とっても白くてピカピカしていた。そしてやわらかくてとってもおいしかった。
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